2005年03月28日

人権擁護法案の可能的なリスクとは

こちらのブログで話題になっている人権擁護法案の悪用の可能性、それに対する対策の有用性などについて考えたい。

氏の主張を要約すると、
人権委員会に多数の部落解放同盟の構成員が選ばれる可能性はほぼ皆無で、また少数では悪用、乱用は不可能

という意味であると思われる。既にリンク先のエントリにもコメントされているが、仮に特定の団体からは一人しか選出されなくても、互いに結託する可能性がここでは論述されていないようである。

誤解を恐れず言うなら、被差別者にとって差別は深刻な問題である一方、それ以外の人間にとって多くの場合瑣末な出来事である。現代日本で最も頻発し、最も身近で、同時に十分深刻な差別は「いじめ」であろう。しかし、いじめが結果として被害者の自殺などの事件になっても周囲の人間の反応は基本的に無関心であると言えるのではなかろうか。

つまり、ある団体にとって、自分の取り組む差別以外の差別は「どうでもよいこと」であるのが基本といえるだろう。他の人々にも気を遣うお人よしも居るかもしれない。しかし一般には自分の団体での活動で手一杯なのではなかろうか。

どうでもよいこととはつまりは相手の案件を優遇しても自分には何の損害も無いということである。(せいぜい自分の案件が後回しになる程度)そこで同時に自分の取り組む差別への優遇を条件に結託する可能性を否定する合理的な利害の不一致は私にはまだ見つけられていないのである。互いが乱用にかんして抑止力になると思えないのである。

もう一つ。悪用の可能性の多少の他に、仮に悪用された時最大でどれくらいの被害が予想されるかという議論がリンク先ではあまり考慮されていないような気がする。仮によく言われるような言論統制に繋がるリスクがあるなら、慎重になるのは当然であろう。

最後に、この法案が施行されたとして、具体的にどういう案件どのような働きかけをしそれが結果としていかにして差別を解消してゆくのかその具体的な展望はどのあたりに書いてあるのだろうか。私はまだそれを見ていないので断定的には語れないが、表現を規制しても現在自主規制として行われている差別表現の規制の延長としての言葉狩りにしかならないのではないかと危惧する。あれでどれほど差別が無くなったというのだろうか。

トラバ先ブログのコメント欄に小倉氏のコメントがついたので追記。
非常にに妥当な人選予想だと思われた。どこかの組織構成員を入れるにしては確かに5人では相当に枠が不足しているはずなのだ。仮に被差別者の人口比で人選するとしたら、むしろその方が著しい差別であるとすら言えるからである。被差別者の人口比と被害量は一致しないだろうし、以前私も指摘したが、例えば障害者など自力で救済へ向けての活動ができない人間こそより擁護が必要であるが、しかし彼等を選ぶのが難しいのは言うまでもないだろう。


彼のコメントを踏まえ、更にネットの発達により言論統制は事実上不可能になりつつあると仮定するなら、これは新たなポストを作って小銭稼ぎするくらいのものだと考えるべきであろうか。現実にどれくらいの実行力が与えられるのかによるので言論統制もまだ杞憂とは言い切れないだろう。しかし、そもそも大した実務能力を与えず、また結果として差別への強力な擁護力も持たない(せいぜい現状の自主規制に毛が生えた程度)の、毒にも薬にもならないポストを新設するというのは、いかにもありそうな話でもある。
posted by князь Мышкин at 00:37| ブリスベン ☀| Comment(1) | TrackBack(1) | トラックバック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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Posted by Gilbert Carver at 2007年12月17日 23:07
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es muss sein 運命の声 2003.5.X 初出
Excerpt: ボロロ族にも差別はある。 僕は衝撃を受けた。 ボロロ族にも、生地での差別や 粗野...
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