2005年07月11日

死の商人

前回は、生産に消費が追いつかない場合の緊急回避として軍事で消費するというプランを考えてみた。今回はさらに別の可能性を考えてみたい。紆余曲折あって軍需産業が出来た時、そう簡単に取り潰すわけにはいかなくなる。これが次の問題であろう。


軍事は浪費とは言ったが、しかし全く生産していないわけでもなかろう。武器でも一応作ることに変わりない。しかし軍事を一国で回そうとすると生産よりその消費分が露骨に多くなるのは否めないだろう。買うのに金がかかるくせに必需品ではないし娯楽にもならないし(軍ヲタは含めない)武器の賞味期限はひどく短い。軍需産業自体が生産しても、運用する軍人そのものは平時において限りなくただ飯喰らい臭い職業である側面は否定できないはずだ。私的には、軍事の民間転用も、それを理由に軍事に必然性があると言えるようなものでなく、せめてそういうリサイクルでもしなければやっていけないほどの浪費という側面を持っているからではないかと思われるところだ。

こうした非効率、どうにかならないものか。ここで妙案がある。軍需産業そのものは生産になる。軍人はごくつぶし。なら、その比率を変えればいいのではないか?一国でみればその比率は一定だが、他国に武器を売れば軍人というただ飯ぐらいを抑えつつ軍需産業で生産を向上させられるではないか。死の商人である。

しかしただ売ればいいというものではない。この先の計算は複雑極まりないだろう。典型例として、自国が売った武器で自国を攻められれば経済的に大きな損失になってしまう。(中東に流した武器でテロに見舞われている国があったような気もするが、これは想定内のリスクである可能性もあるし、計算ミスによる損失の可能性もある)自国の軍備を上回らない範囲で生産、販売するなど、緻密リスク計算が必要になってくるだろう。

ここまで考えたところで、少し振り返ると、前回、前々回の話では他国を想定していなかった。ここで少し考えを進めると、他国に売るのは何も武器でなくてもいいのではないか?という疑問に突き当たる。生産が過剰になったら、消費に生産が追いつかない国に輸出するなどして融通をきかせればかなりのところまで需給バランスの崩れを回避できるのではないか?となる。このあたりが実際の世界のありかたにより近いのではなかろうか。

ではそれでも武器を売る場合を考えると、それは他に産業が乏しい場合となろうが、これはかなり特殊かつそれだけで国家としては危機的状況なのではなかろうか。いつまでも相手が武器を買ってくれるとは限らない。軍事は産業としてそもそも不安定である。そこで軍産複合企業の陰謀、とは考えにくい。軍事まで輸出することを余儀なくされたような国家に、世界の裏で暗躍するほどの力があるというのは考えにくい。せいぜいが、国家同士の利権の争いありき、の状況で、その争いに乗じて商売しようという従属的な立場になるのではなかろうか。朝鮮特需の時の日本は、その従属的な立場に属していたと思われるし、第一その後の日本は軍需産業をほとんど持たずにここまで発展してしまった。この日本というサンプル自体が、軍産複合企業の陰謀と矛盾する存在なのだと言えまいか?

軍事や戦争で儲ける人も居るだろう。しかし、軍事を無条件に増大させ、無駄に戦線を拡張することが、産業全体として活性化させるものだとは言いがたいと思われるのである。
posted by князь Мышкин at 00:55| ドバイ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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