2005年09月10日

NHKと契約自由の原則

NHKの契約や支払いの拒否に対して強権発動の動きがある。

NHK、受信料不払い者に法的手続き計画
まずは契約自由の原則を押さえておきたい。

 1 意義 個人の契約関係は,契約当事者の自由な意思によって決定されるのであって,国家は干渉してはならないという近代私法の原則。契約を締結するかどうかについての自由(締約の自由),どのような相手方と契約をするかについての自由(相手方選択の自由),どのような内容の契約をするかについての自由(内容の自由),どのような方式による契約をするかの自由(方式の自由)がその内容であるとされる。⇒私的自治の原則

ところがこれには問題があり
 2 機能 契約自由の原則は,私的所有権の絶対性,過失責任主義と並んで,近代資本制社会における商品交換の自由を保障する基本的な原理と考えられていた。しかし,資本主義が高度化するにつれて,個人意思の尊重は,結局,独占的な企業による社会の支配を意味することになり,契約自由の原則に対する反省・批判が強まっている。

そして今回の件では
 5 締約強制など 内容の自由だけではなく,公益に関係のある事業などにおいては締約の自由が否定され(⇒締約強制),また,小作契約においては契約の書面を作ることが要求される〔農地25〕など,契約の自由はしだいに各方面において制限されてきている。

も関連するだろう。

つまり、原則的には契約は自由に結ばれるべきだが、そうなると大企業など経済的に優位に立つ側に都合のよい契約が半ば強要されてしまうことから、強制される場合もある、ということである。

さてNHKの契約について、契約自由の原則の例外であるとする主張がある。
ようするにこの種の主張はたいてい、「意思に反して契約を結ばされ、義務を負うのは、人権侵害だ。」という主張をするのですが、一般論として「契約が強制される」こと自体で人権侵害にはなりません。正確に言いますと、一応近代市民法の原則として「契約自由の原則」というのがある訳ですが、これは「検閲の禁止」とは違って例外の認められない原則ではありません。契約の自由の例外や修正がいくつもありますが、「契約が強制されたから人権侵害」だなんて短絡的な主張は憲法学界ではまず誰もしていないと言っていいと思います。

とのこと。
さて、この主張では趣旨が見えにくい。最初の引用からすると、契約自由の原則それ自体が不平等になりかねないから、制限を加える、という意味になるはずなのだが、NHKの契約は契約自由にするとどんな問題があるのであろうか。契約自由の原則の例外を「任意に」設定できるとしたら、本来経済的弱者のために用意されたはずの強制契約が、むしろ経済的強者の横暴を加速するものになってしまう。

私としては、契約自由の原則の制限についてはこちらの解釈の方が妥当なように思われる。

それでは、主要な公共料金である、水道、電気、ガスの契約に、契約自由の原則が適用されるのでしょうか?


実はこれらのライフラインと言える”主要公共料金”は、契約自由の原則が制限されています。
契約自由の原則とは、『NHK受信料には契約自由の原則が適用になります』に書いた通り、契約当事者双方に、契約自由の原則が適用されます。

そうなると、生活上必要なライフラインである、水道、電気、ガスの契約について、相互が自由に契約できるとなると、地域独占事業である事業者が絶対的に有利な立場に立つことになります。
そこで、契約自由の原則を制限し、利用者からの利用申し込みがあった場合、事業者はそれを拒否してはならないという制限を加えています。すなわち、事業者には、「契約を締結するかどうかについての自由(締約の自由)」がなく、申し込み者全てを受け入れなくてはならないのです。


つまり、契約自由の原則の制限とは、優位に立つ大きな事業者などに対する制限として考えるべきだということになる。そして、現在のところNHKは公共料金とはみなされず、ゆえに契約自由の原則から契約の拒否は可能であるというのである。

そして、ここから陰謀開始である。
NHK側とすれば、憲法で保障されるような契約自由の原則の例外にあたるのか、について司法の判断を仰げばいいように思われる。金は随分余っているようなのだから、要は適当に裁判を起こし、最高裁判決で憲法判断を求め、「例外にあたる」としてもらえば今後はもっと強気に出られるはずである。なぜそれをしないのか?

それは、司法の場に出たりしようものなら、契約の強制について違憲判決が出る可能性が高く、そうなったらもう誰も払ってくれないからなんだよ!!!111!!1!1(AA省略

(なんだってー省略
posted by князь Мышкин at 00:05| バンクーバー ☀| Comment(6) | TrackBack(0) | ネタ雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
つまり、契約自由の原則の制限とは、優位に立つ大きな事業者などに対する制限として考えるべきだということになる。

自賠責保険はそうではないのでは。
Posted by 008 at 2005年09月25日 11:58
自賠責保険はかなり例外的なもののようですね。

名目としては、「自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)とは、「交通事故の被害者が泣き寝入りすることなく、最低限の補償を受けられるように」と国が始めた保険制度です。」だそうで。

つまりは交通事故の加害者が被害者に対する賠償支払い能力を十分持たない場合に、代わりに支払ってやるからそのための積立金よこしやがれ、という論理ですね。なので契約上優位もなにも、「選択の余地が無い」ということになりましょうか。
(自賠責Aと自賠責Bの、自分に適した方を選択するというような自由は最初からなく、確かに強制はされているけれどそれは経済的な力関係から選択を余儀なくされるというよりむしろ法的強制力によるということになりましょうか)
Posted by Мышкин at 2005年09月26日 01:16
日本放送協会・・・なんですよね・・・協会。
必要とするかしないかは個人の自由だと思います。
実際、NHKは観ませんし、必要と感じて居ません。

NHKが受信できないTVが安価に、しかも普通に売られていない現状を考えると、「受信できる受像機(TV)を持っている」というか、選択肢が無い状況で「NHK受信できるから受信料払え」というのは物凄く不条理な法律です。NHK民営化やNHK法撤廃が妥当じゃないかと思いますね。
Posted by kuma at 2005年10月01日 12:15
>kuma氏
>NHKが受信できないTVが安価に、しかも普通に売られていない現状を考えると

どうもそのあたりについても、財産権の侵害という説が出たりするようですね。
Posted by Мышкин at 2005年10月01日 23:37
契約を強制されても人権侵害になると憲法学者が考えていない!?

とんでもない暴論ですね。

少なくとも、私が講義を受けた憲法学の先生は契約の強制(特に国家や経済強者による)は人権の侵害に他ならないと指摘していました。

おっしゃるとおり、放送法32条は司法の判断を仰ぐべきです。

今回の強制執行が50世帯未満、しかもチョイスされたものという点にNHK側の意図と慎重さを感じます。

おそらく、異議申し立てから違憲性の指摘をするような人物を外したのでしょう。
(法曹家でも不払いを続けている人は多いので)

お困りの方のお役に立てれば幸いと、当方ブログに、法曹家お墨付きのNHK強制執行に対する異議申立文例を載せております。
Posted by 真鍋かおり at 2006年10月11日 03:03
嘘八百の暴論並べてて、ほんと恥ずかしくないんかい?

契約の自由をNHKの契約は冒さない?

どこの権力の犬のマヌケな吼え声かと思った。

こんな嘘でも活字になってしまうのだから、インターネットは怖い怖い。
Posted by at 2007年05月14日 18:15
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/6663132

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。